(黒歴史再掲)劇場版名探偵コナン「純黒の悪夢(ナイトメア)」雑感

(2016年5月24日に書いた文章)


日曜日、「純黒の悪夢(ナイトメア)」を観てきた。なお、午前中は「曽根崎心中」を観ている。この二つを抱き合わせた人間は、人類史上そう居そうにない。

世話物の感想を書いても仕方ないので、コナンの感想を書くことにする。

なお、私は「名探偵コナン」シリーズの筋金入りのファンである。原作は全巻所持している。

地上派にて、「業火の向日葵」を観る機会があったのだが、まああまりにも酷い。思えば、「探偵たちの鎮魂歌」を契機として、劇場版コナンは、パニック映画でしかなくなってしまった。

子どもに受けて、一定の売り上げを取る必要があるのは、少年漫画の義務かもしれない。(「重版出来」の安田さんの好演を思い出す。)

だが、「業火の向日葵」はあまりにも酷過ぎた…。推理も何もなく、キッドが計画書を盗んだというだけのこと。オマケに犯人役の名演技たるや。

まあしかし、20作目ということ、黒づくめの組織についての情報があるらしいとのことで、久しぶりに劇場に足を運んだ。

以下、眠い目をこすりながら感想を綴ります。ネタバレは直接的にはしないものの、そういった内容が含まれます。

箇条書きで、良かった順に◎〇△×で要素を挙げながら、適当に書きます。無論、適当な気持ちで書いています。

×過剰なパニック要素

まず、冒頭がおかしい。信じられないレベルの交通事故が起こる。

タンクローリーの横転?そんなの、可愛い方だ。一般人が乗った一般的な車が、宙を舞い一回転し、トラックに潰され、すぐに爆発する。あれに乗っていて、脱出できた一般人は、黒づくめの組織に入るべき。

劇場で見ると、確かにパニック要素は画が持つ。ただ、それに頼り切りじゃあなあ。

ラストの武力行使については多くは語らない。劇場版の冒頭で登場する、新施設は爆発する。それだけのことだ。

※南北に二つの観覧車を設置、南と北、違う景色が見られます!→一つなら両方見えるんですが…

△安室の私怨

安室―赤井の因縁が、まだ語られてない中ではあるものの、流石に安室がアホすぎる。「狩るべき相手を間違えるな」って、原作にもあったように思うが、ああいう軽さは伴ってはいけない。

あと、公安の部下が「降谷さん」って本名で呼んでたが、不用心が過ぎる。組織を見習うべし。

松田刑事(佐藤刑事の永遠の憧れ、爆弾処理班の伝説)との交友関係は少し意外であった。赤井との因縁も、警察関係者をめぐるトラブルか?

△黒づくめの組織、企業形態も黒づくめ

ノックが多すぎる黒づくめの組織。喩えるなら、派遣とバイトだらけのブラック企業。すぐに首が斬られる(物理)。

〇灰原のキャラ

やっと灰原が帰ってきた。否、前半の態度は少々気に食わないものがあるが。

コナンのやることに脅え、震えながら止めようとする。勇気を振り絞って行動に移す。ただのデレデレと化していた最近の灰原は幻想だったのだ…。

最後、何が出来るわけでもないのに、少年探偵団の側に居よう、というあたりも良い。もし悲劇が起きるなら、せめてあの子達と一緒に…。灰原はコナンのことを好きなのかもしれないけど、それ以上に仲間のことが大事なのだ。

◎少年探偵団の活躍

今回の主役といってもよい。少年探偵団が活躍したの、いつぶりだろうか。

活躍というのは、厳密には「スペックの範囲内で」の活躍。本人たちはあくまで小学一年生なのだから、前半のかったるい子ども臭さを維持し、それがキュラソーを変えた、というメインの筋書きは良かった。

入院しているキュラソーと、オセロを繰り広げる。オセロは勿論、白と黒を反転するゲームだ。何色にも染められる白色、組織に心酔する黒色。

「黒づくめの組織」はしばしばカラスに比せられるが、劇内には鳩がたびたび登場するのも印象的である。

△ウォッカ、無能

「兄貴…逃がしちまいやした」が許されるのは、ウォッカだけだろう。

ジンと一緒にノックを始末しに赴いた時も、制限の一分を過ぎたのに、あろうことか街中を走らせている。

極めつけは、そのあとノックを挟んでジンが現れることだ。

 ●        〇       ●

ウォッカ     スパイ      ジン

射線に立つなと言っただろう!

×ベルモット、無能

変装の達人が聞いて呆れる。しかも、有名女優なのだよな、ベルモット。水族館前のファミレスで、ご飯も食べず、パソコンと怪しげな機器を広げ、イヤホンで会話をし(日本では席を外すのがマナーですぜ、多分)、帽子も取らず、頼んだコーヒー(ホット)に手を付けず、何時間も居座っている金髪の外国人が

印象に残らない筈はない。

すぐに嘘の情報を信じてしまうし、ベルモットはスパイ以上の組織の癌になってしまっている。

〇キャンティ・コルン、有能

一方、有能さが目立ったのはこの二人。ウォッカは1分あっても逃したのに、一瞬でターゲットを始末する。キャンティに至っては、動くヘリからスナイパーライフルで一発で射殺する。コルンは仲間がスパイだと知って、残念がるほどの仲間思い。

言われたことには忠実、使命を確実に果たす。「あの方」はジンとかベルモットより、こいつらを腹心にすべきだ。

△渡してはいけない情報

黒づくめの組織がスパイ戦争を掌握する、という事態のヤバさは、妙にリアリティがあるといえばある。が、公安がそのデータ、持っているのだろうか…。

△申し訳程度の推理

予想はつくし、必要かは分からない推理。まあ、犯人は誰だ?といった推理をする話ではなかったが、そろそろ真面目な事件を観たいなー。

×阿笠博士が神がかる

バッテリーの切れないスケボー、ヘリに損害を与えるサッカーボール(劇場版オリジナルのアイテムで、冒頭に紹介もなかった。発明品が使われる回では、大抵冒頭で紹介されるのだが…)、観覧車を止めるサスペンダー。加えて、スマホの修復、メールの送信元の偽装。

「鳩ぽっぽ」の道化のシーンは悪くない。「何やってんだ博士!」は誰でも笑うでしょう。

◎目暮警部の毅然とした態度

メグレ警部は恰好良すぎた。刑事物の宿命、公安と一課の対立だが、はじめは立場を重んじて負けたかに見える。

が、非常事態に「組織のことでいがみ合っている場合ではない」…。さすが警部だ!観覧車の上でボクシングをしている誰かさんたちとは大違い。

〇コナンのくっさい台詞

「思い出だよ…」 唐突なオチ。

この寒さが青山作品でしょう。急すぎた感は否めないがな。

×ジンの作戦

空自を念頭に置くな。

まあ、そんなところですかね。

全体としては、それなりに満足はしております。が、そろそろ「十四番目の標的」のような作品が観たい…。

「黒」をめぐる色彩の話でしたが、

白の象徴たる怪盗キッドが「黒羽」姓ってことを思い出しました。

黒羽盗作(キッド父)、原作で出てきた話が中途半端に終わってましたが、何かあるのだろうか・・

Snobbism

主に読んだものや見たものや考えたことについて書きます。

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